FUNDINNO案件レビュー(DIGITAL SAKE COMPANY株式会社)
※本件については、案件不成立となったようで、ファンディーノのサイトから削除されています。(2021/3/31追記)
さて、またFUNDINNO(ファンディーノ)で新しい案件が出たのでレビューしようかな。
3月21日10時申し込み開始の案件です。
ざっと投資登録者以外でもみれるところの情報を見て、思ったことを。
また、FUNDINNO案件のレビューしようと思った背景は以下に書いてます。
基本情報
【事業を一言で】
日本酒に特化したライブコマース事業
【投資の型】
【募集額】
15,030,000円~60,030,000円
市場/ニーズはあるか
清酒自体の消費量は減少傾向で、ピーク時の3割以下。
背景としては、趣味や趣向の多様化が言われている。
例えば、お酒自体も昔はビールか清酒が大半を占めていたものの、発泡酒やリキュール、果実酒、焼酎、ウィスキー、さらにその中でも細分化されている。
また、余暇の過ごし方、という意味でも、漫画、SNSなど種類が増え、相対的に清酒の消費量が減ったものと思われる。
ただし、高付加価値商品の需要増により、単価は上がり、出荷金額自体は若干の増加傾向となっている。確かに、実感としても昔より高級な日本酒については知っている人も多いし、それを売りにしている居酒屋も多い感覚。
消費量全体は下がっているものの、差別化がきちんとできているものについては高くても売れている、ということだろうか。また、グラフばっかり乗せると鬱陶しいので割愛するが、海外輸出については特に高価格帯を中心に伸びている点は明るい事実。
事業計画は妥当か
まずビジネスモデルについて、は手数料収入。元来通るはず、卸、小売り、というルートを通らず、DtoCとなるため、手数料を取っても、酒蔵/消費者ともに嬉しい、というモデル。下図だと最終価格3,000円に対して手数料900円は3割弱なので、かなり高い気もするが、最終価格10,000円で手数料900円だと1割弱くらい、まぁ妥当か。ライブコマースで買うような品物はある程度単価が高いものと想定される。
売上計画は以下。2026年で約10億円。
超ざっくり、桁感に違和感がないか、見積もってみる。
対象会社によると、最終価格ベースの日本酒の市場は約6,700億円/年。
さて、そのうち、どのくらいの人がライブコマースで買うか。
正直日本ではまだライブコマースは普及していない。知っている人/使っている人もあまりいない(※)。
ほとんどの消費は小売りもしくは飲食店。1,000人に1人くらいがライブコマースで年間の購入の10%くらいを買う、とすると6,700億円×0.001×0.1=6.7億円。
そのうち、手数料割合が大体20%だとすると、6.7億円×0.2=1.34億円。
うーん、なかなか難しそう。
海外への展開や、日本酒以外の商品の展開など、国内×日本酒に加えて何かないと厳しいか、という所感。
※ライブコマースに関する意識調査
EXIT(イグジット)について
本件については、案件情報においてはIPOが目標となっているが、上述した売上の見込みでは厳しそう/あったとしても2026年よりは後ろ倒しになるのではないか。
では、他社売却はどうか?
実は対象会社はMIRAI SAKE COMPANY株式会社の完全100%子会社。
MIRAI SAKE COMPANY株式会社は名前のとおり、自分たちでも日本酒の小売りをしていたり、日本酒の普及をメインとしている会社。ということを考えると、なかなか他社売却も想定しづらい気もする。そこそこ売上/利益が出て、IPOも売却もしないという線もあり得るパターン。本業が苦しく、ライブコマース事業として、関連の事業会社に売却するケースはないことはないと思うが。
総合すると、投資した側からして嬉しいExitの可能性は、ちょっと低そうというのが正直な感想。
その他雑感
- Exit確率的には渋い案件と思うものの、非常に応援したくなる案件ではあるので、1年に1本日本酒もらえるとか、特別なライブコマースに参加できる、もしくは蔵元を見学できる、などの株主特典があれば、9万円コースくらいなら投資する人がいそうな気がする。
- ライブコマースとして、特定領域・商品への特化はいいなと思った。例えば日本酒以外に焼酎、ワイン、クラフトビール、など特化領域をたくさん作るような戦略はできないか
- なんだかんだいいつつ、ライブコマースなんて1回興味本位で見てみたくらいなので、今度買ってみるかな
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これからもファンディーノ案件出てきたらレビューするのでよろしくです。