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【IPO分析】ベルテックス(623A)― 高成長・高ROEなのにPER4.7倍・利回り6%、割安バリューな不動産株

こんにちは。さて、連続でIPO案件の評価です。

 

今回は2026年9月18日に東証スタンダードへ上場するベルテックス(623A)です。東京・新宿の不動産会社で、ざっくり言うと投資用マンションを自社で開発して、投資家に売って、そのまま賃貸管理もして、さらに不動産ファンドまでやるという、不動産まわりを一気通貫で手がける会社です。ベルシードという自社ブランドのマンションを作っています。

売上は349億円で、経常利益はこの4年で約10倍、ROE(自己資本利益率)は30%という立派な高成長・高収益企業。なのに、想定価格530円で計算するとPERは約4.7倍、PBRは0.9倍(=純資産割れ)、配当利回りは約6%。もちろんそれには理由はありそう。例によって全部Claude君に読ませて、いつもの5軸で分析してもらいました。では、レポートどうぞ。

ベルテックス(VERTEX)

Vertex co., Ltd / 証券コード 623A / 東証スタンダード
上場日(売買開始)2026/9/18
想定発行価格530円
想定時価総額約59.6億円
吸収金額約22.9億円
PER / PBR / 利回り4.7倍 / 0.9倍 / 約6%
主幹事東海東京証券
B
高成長・高ROEなのに激安。初値は地味でも、割安×高配当のバリュー株として妙味大。
投資用マンションの開発・販売・管理・ファンドを一気通貫で手がける不動産会社。売上349億で経常利益は4年で10倍、ROE30%と成長性・収益性は一級品。にもかかわらずPER4.7倍・PBR0.9倍(純資産割れ)・配当利回り約6%という激安バリュエーション。ただし投資用不動産は業種として低評価されやすく、初値の跳ねは限定的な見込み。

① 事業と成長性 B+

東京・新宿の不動産会社。「不動産事業」の単一セグメントで、投資用マンションの開発・販売・賃貸管理・不動産ファンドを一気通貫で提供します。個人投資家向けを主軸に、法人向けも第2の柱に育成中。

3つの機能と売上構成(第15期 2025/11期)

機能 売上 構成比 前期比 内容
不動産コンサル(販売・主力) 312億 89.3% +25.0% 自社ブランドマンション(ベルシード等)+中古を投資家へ販売。ファンド(VERFUND)も含む
不動産管理 38億 10.7% +11.9% 賃貸・建物管理(集金代行777円/月〜)。入居率99.8%のストック収益

売上の約9割は投資用マンションの販売で、これが前期比+25%と伸びを牽引。残り1割の管理はストック収益です。粗利率は約17.7%、営業利益率は約5.4%と、不動産販売業らしい薄利多売型(在庫を回して数で稼ぐ)。ゼネコン機能の内製化で、同業のなかでは利益率をやや高めに保っています。なお最大の販売先は第一リアルター(売上の11.1%)で、不動産業者向けの卸的な販売も一定あります。

経常利益は4年で約10倍の急成長

売上高(2021/11 → 2025/11)CAGR約20%
170億 → 349億円
経常利益(同)
1.6億 → 17.6億円(約10倍)

自社ブランドマンションを14棟336戸供給(2025/11期)するなど、開発の内製化で利益率が跳ね上がりました。ゼネコン機能を持つデベロッパーとして、20戸未満の小規模〜DINKS向けコンパクトまで商品を拡張しています。

◎ 強み

  • 開発〜販売〜管理〜ファンドの一気通貫モデルで高収益(ROE30%)
  • ゼネコン機能内製化で中間マージンを抑制
  • 管理入居率99.8%のストック収益も積み上がる
  • 単独世帯増・新規供給減でコンパクトマンション需要は底堅い

△ 懸念

  • 投資用不動産販売は金利・不動産市況に感応度が高い
  • 首都圏・国内・単一セグメントに集中
  • 不動産在庫・借入に依存する高レバレッジ体質
  • 創業社長への依存度が極めて高い(保有91%)

② 財務の健全性 B

売上高(25/11)349億円
経常利益(25/11)17.6億円
ROE(25/11)30.4%
自己資本比率(25/11)34.5%

業績推移(単体・百万円・11月期決算)

決算期 売上高 経常利益 純利益 自己資本比率
2023/11(第13期) 21,377 424 286 32.9%
2024/11(第14期) 28,304 1,118 781 37.5%
2025/11(第15期) 34,941 1,758 1,280 34.5%
2026/5(第16期中間) 16,699 910 599
増収増益・ROE30%と収益性は文句なし。ただし自己資本比率は34%と低めで、これは不動産在庫(販売用不動産)と開発借入で資産が膨らむ不動産開発業の宿命。営業キャッシュフローも開発用地の取得年にはマイナスに振れます(2025/11期は△17億)。金利上昇局面では調達コスト増・需要減の両面で逆風になり得る点は、業態として織り込んでおきたいところ。

③ バリュエーション A−

想定PER約4.7倍
想定PBR約0.9倍
ROE30.4%
配当利回り(予想)約5〜6%
数字だけ見れば「なぜこんなに安い?」レベルの割安
想定価格530円で、PER約4.7倍・PBR約0.9倍(=純資産割れ)。しかも会社は2026年11月期の配当を1株25〜32円と想定しており、これは配当利回りにして約4.7〜6.0%。ROE30%・4年で経常10倍の成長企業が、この値段でこの配当利回りというのは、数字上は極めて魅力的です。

同業(投資用不動産販売)との比較(参考概算・2026年8月時点)

企業 市場 PER(目安) PBR(目安) 配当利回り(目安)
ベルテックス(623A) スタンダード 約4.7倍 約0.9倍 約5〜6%
エフ・ジェー・ネクスト(8935) プライム 約7〜8倍 約1倍 約4〜5%
グローバル・リンク・マネジメント(3486) プライム 約7〜9倍 約1.5倍 約4%
ミガロHD(旧プロパティエージェント/5535) プライム 約9〜11倍 約2倍 約2%
PERは各社の直近株価・予想からの概算です。投資用マンション販売は業種として構造的に低PER(一般に5〜10倍)で評価される世界(金利・市況の感応度、在庫リスク、レバレッジのため)。その中でもベルテックスのPER4.7倍・PBR0.9倍は最も安い部類で、配当利回り6%も同業比で高め。つまり「業種の割安さ」に加えて「その中でもさらに安い」二重の割安ですが、安さの理由(業種ディスカウント+上場実績のなさ)を理解した上で、配当と成長を取りにいけるかが評価の分かれ目です。

初値予想

シナリオ 初値水準 対公開価格(530)
弱気(業種ディスカウント) 530〜560円 ±0〜+6%
中立(メインシナリオ) 560〜650円 +6〜+23%
強気(割安・高配当が評価) 680〜800円 +28〜+51%

※IPO情報サイトの読者予想は平均・中央値ともに560円(+6%)と地味め。大型・地味業種で初値人気は限定的だが、PBR0.9倍・利回り6%が下値をしっかり支える構図。

④ 需給 B

募集の構造(成長資金調達型)

区分 株数 備考
公募(新株) 3,150,000 会社へ約15.2億円(マーケ・拠点展開・人材・IT等)
売出(買取引受) 600,000 梶尾社長のみ(保有813万株のうち一部)
OA 562,500 東海東京(社長から借入)
吸収金額 約22.9億円

◎ プラス材料

  • 公募中心の成長資金調達型(VC・PEの出口ではない)
  • 創業社長が上場後も約67%を保有、コミットメントが明確
  • PBR0.9倍・利回り6%で下値は堅い
  • 従業員持株会への親引け(9.3万株)

△ マイナス材料

  • 吸収22.9億の中型で、地味業種ゆえ初値人気は限定的
  • 浮動株が少なく(社長67%)、流動性が細い可能性
  • ストックオプション潜在株が8.88%
  • 東証スタンダードで機関の継続買いは限定的

主要株主(上場前)

株主 比率 区分
梶尾祐司(社長) 91.46% 創業者(今回一部売出、貸株人)
澤田統吉・馬場裕史(役員) 各0.78% ストックオプション

VCやPEは一切おらず、創業社長が91%を握る完全オーナー企業。今回の上場は「株主が出口で売り抜ける」タイプではなく、会社が成長資金を調達するのが主目的。社長は上場後も約67%を保有し、ロックアップ180日。オーナーが逃げない構図はプラスに評価できます。

⑤ 総合評価

観点 評価 ひとこと
事業と成長性 B+ 経常4年で10倍・ROE30%。ただし金利・市況感応の業態
財務の健全性 B 高収益だが自己資本34%と薄く、在庫・借入依存
バリュエーション A− PER4.7倍・PBR0.9倍・利回り6%。数字上は激安
需給 B 公募中心・オーナー残留は◎。地味業種で初値人気は限定
総合 B 初値より、割安×高配当のバリュー株として持つ一社

投資判断のポイント

  • これは「初値でひと山」より「配当とバリューで持つ」タイプ。読者予想も+6%と地味で、業種ディスカウントゆえ初値の急騰は期待しにくい。
  • その代わり、PER4.7倍・PBR0.9倍・ROE30%・配当利回り約6%という組み合わせは、数字だけ見れば今回の一連のIPOの中でも突出して割安。公募で取れれば、下値の堅さは魅力。
  • カギは金利動向と不動産市況。金利上昇は投資用ローン需要と在庫評価の両面で逆風になり得るので、ここを許容できるかが分かれ目。
  • VC不在・社長67%残留で「オーナーが逃げない」点は安心材料。高配当を受け取りながら成長を待つスタンスが素直。

リスクファクター

金利上昇・不動産市況の悪化(投資用ローン需要減・在庫評価損)
首都圏・国内・単一セグメントへの集中
高レバレッジ体質(自己資本比率34%)
創業社長(保有91%)への依存
宅建業法等の規制・契約不適合等の訴訟

IPOスケジュール

仮条件決定 2026/9/1
ブックビルディング期間 2026/9/3〜9/9
公開価格決定 2026/9/10
申込期間 2026/9/11〜9/16
上場(売買開始) 2026/9/18

取扱証券会社

主幹事:東海東京証券(単独)/ 引受:SBI・松井・マネックス・楽天・むさし・極東・岡三・水戸・丸三・岩井コスモ・東洋・あかつき

企業概要

会社名 株式会社ベルテックス(Vertex co., Ltd)
証券コード / 市場 623A / 東証スタンダード
代表者 代表取締役社長 梶尾 祐司(創業者)
所在地 東京都新宿区西新宿六丁目8番1号
設立 / 決算期 2010年12月 / 11月
従業員数 231名(2025/11期)
事業内容 不動産(投資用マンション開発・販売、賃貸・建物管理、不動産ファンドVERFUND)
配当方針 2026/11期の1株配当を25〜32円想定(利回り約5〜6%)
本レポートは目論見書(2026年8月14日提出の有価証券届出書)および公開情報に基づく分析であり、投資の推奨・助言を目的としたものではありません。時価総額・PER・PBR・配当利回り・初値予想等は概算および外部情報サイトの数値を含み、確定値ではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
作成日:2026年8月17日

というわけで、総合評価はB。これは完全に「初値でひと山」ではなく、割安と高配当で持つバリュー株としてみたらどうかなぁ。

まず、なぜこんなに安いのか。答えは業種です。投資用マンションの販売会社は、金利や不動産市況にモロに影響を受けるうえ、在庫(販売用不動産)と借入で資産を膨らませる高レバレッジ体質なので、市場から構造的に低いPERで評価される宿命があります。同業のワンルーム販売各社もだいたいPER5〜8倍。だからベルテックスのPER4.7倍も「業種としてはそんなもの」という側面がある。実際、IPO情報サイトの読者予想は平均・中央値ともに560円と、公開価格からわずか+6%の地味な見立てです。

とはいえ、いいなぁと思うのは、①PBR0.9倍・配当利回り約6%で、下値がしっかり支えられていること。②VCやPEが1社もおらず、創業社長が91%を握る完全オーナー企業で、上場は「株主が売り抜けるため」ではなく「会社が成長資金を集めるため」だということ(社長は上場後も67%を持ち続ける=逃げない)。③それでいて経常利益が4年で10倍、ROE30%という成長・収益力。

唯一にして最大の論点は金利です。金利が上がれば、投資用ローンの需要が細る可能性があり、在庫の評価にも響きそう。業種リスクを承知の上でなら、初値は地味でも、6%の配当を受け取りながら成長を待つという持ち方ができそうではある。

個人的にはあたったら買うかなぁ。迷うなぁ。

 

本記事はあくまで個人の見解であり、特定の金融商品をお勧めするものではないのでそのへんは自己責任で!