こんにちは。
今回も生成AIで事前に整備したプロンプトを使って上場企業の投資評価をしていきたいと思います。対象会社は以下です。
- セルシス 証券コード:3663
使用したのはGeminiです。
経営コンサルタント、事業経営者、金融アナリストの3人で議論して評価するような形にしています。
イラスト・マンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」のSaas企業ですね。
いや、これすごいんよな。プロはもちろんですけど、素人でもこのアプリ色々使って遊んでるうちにクリエーターになれる。
頭に浮かんだものを形にできる力としてはめちゃくちゃ素晴らしい。
株価は5年スパンでみると3倍を超えてます。ここ1年でも1.5倍以上ですかね。

さて、いきましょう。
企業投資評価レポート
株式会社セルシス (コード:3663)
89/100点
サマリー:クリエイターの「ペン」を握るSaaS企業。世界市場での圧倒的地位確立と高収益化が加速
セルシスは、イラスト・マンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)を主力とするSaaS企業です。Adobe一強であったクリエイティブ市場において、「マンガ・イラスト・Webtoon」という特定領域でデファクトスタンダードの地位を確立。その競争優位性(Moat)は極めて強固です。
全世界の累計出荷本数は5,500万本を超え、海外比率は80%に達します。現在、買い切り型からサブスクリプションモデルへの移行が順調に進捗しており、ARR(年間経常収益)は50億円を突破。高収益なSaaSビジネスとして変貌を遂げつつあります。
46兆円と推定されるグローバルな「クリエイターエコノミー市場」を舞台に、インドや中国など巨大市場への本格進出も開始されました。バリュエーション(PER約29倍)はSaaS企業として割高感はなく、世界的なコンテンツ制作需要の拡大を背景とした長期的な成長余地は非常に大きいと評価します。
ステップ1:企業概要と重要ニュース
直近の重要ニュース(ポジティブ)
- グローバル展開の加速(2025年8月~10月): 主力製品「CLIP STUDIO PAINT」の中国語(簡体字)版の本格提供を開始(8月)。さらに今月(10月)、インド市場へ初進出し、最大規模のアニメイベントで若年層へのリーチを開始。
- SaaSビジネスの順調な成長(2025年9月): 「CLIP STUDIO PAINT」の全世界累計出荷本数が5,500万本を突破。同時に、サブスクリプションモデルのARR(年間経常収益)が50億円を突破したことを発表。
- 非連結への移行(2025年1月~): 2024年中に子会社(&DC3)の吸収合併を完了し、2025年12月期より連結決算から非連結決算へ移行。経営の効率化を図っています。
企業概要
- 事業内容: 主力は「コンテンツ制作ソリューション事業」(売上構成比 約87%)。イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)の開発・販売・運営(SaaSモデル)が中核です。
- ビジネスモデル: 従来の買い切り型(一括払い)から、月額・年額課金のサブスクリプションモデルへ移行を推進中。これにより安定的な収益(ARR)を積み上げるストック型ビジネスへと変貌しています。
ステップ2:事業価値の分析
ステップ3:人気の分析
事業価値(Moat)と市場性の詳細分析
(1) 競争優位性(Moat):極めて強固
同社の最大の強みは、クリエイターが一度習熟すると他社製品への乗り換えが非常に困難になる「スイッチングコスト」です。特にマンガ・Webtoon特有の機能(コマ割り、トーン貼り等)でAdobeを圧倒。さらに素材共有プラットフォーム「CLIP STUDIO ASSETS」が強力なネットワーク効果を生み出し、エコシステムを確立しています。
(2) 市場の魅力と成長性:巨大な成長余地
主戦場は2029年に46兆円規模と推定されるグローバルな「クリエイターエコノミー市場」です。累計出荷5,500万本のうち海外比率が80%と浸透していますが、SaaSモデル(サブスク)への移行は道半ばであり、ARR(年間経常収益)の成長余地は莫大です。Webtoon市場の拡大や、インド・中国市場への本格進出が力強い成長ドライバーとなります。
(3) 経営と戦略:合理的かつ高成長
「CREATOR JOURNEY」のサポートを掲げ、SaaS収益の強化とプラットフォーム事業への拡大という二本柱の戦略は合理的です。リスクは、クリエイターの感情に配慮した慎重な価格戦略が求められる点です。
(4) 業績と財務:高収益・超健全
2024年12月期は営業利益率26.1%と高収益体質が鮮明です。2025年12月期(非連結)も増収増益予想と好調。自己資本比率は65.3%(2025年6月末)、営業CFも潤沢(2024年通期で+37.3億円)であり、財務は鉄壁です。
人気とバリュエーションの詳細分析
(1) 物語と、その裏付け:強力な実績
「日本発のツールがAdobeの牙城を崩し、世界のクリエイターの標準になった」というストーリーは非常に魅力的です。これは、ARR50億円突破、累計出荷5,500万本(海外比率80%)という強力なKPI(実績)によって明確に裏付けられています。
(2) バリュエーション:SaaSとして割安
10月20日終値(1,652円)時点の主要指標は以下の通りです。
| 指標 | セルシス (3663) | Adobe (ADBE) | 国内SaaS(参考) |
|---|---|---|---|
| PER (予想) | 約29.0倍 | 約20倍 | 100倍超も多数 |
| PBR (実績) | 約9.2倍 | 約12.2倍 | 15倍超も多数 |
AdobeよりはPERが高いものの、ARRが二桁成長するSaaS企業としては、国内の他社比較で著しく割安な水準と判断できます。市場の期待はまだ過熱していません。
(3) テーマ性・発信力・触媒
「SaaS」「クリエイターエコノミー」「クールジャパン」など人気テーマ性を網羅。IRも月次KPIを開示するなど透明性が高いです。直近の投資情報誌での紹介や、インド・中国市場への進出が短期的な触媒として機能しています。
ステップ4:投資妙味の評価と結論
投資テーマの要約
セルシスへの投資は、「世界46兆円のクリエイターエコノミー市場において、最強のMoat(スイッチングコスト)を持つSaaS企業が、高収益サブスクモデルでグローバル展開を加速させる成長ストーリー」への投資です。ARR50億円突破はまだ序章であり、累計5,500万の既存ユーザーのサブスク移行と、インド・中国等の新規市場開拓が、今後数年間の利益成長を牽引します。PER約29倍という水準は、その成長ポテンシャルに対して十分に魅力的です。
成長機会 (ポジティブシナリオ)
- サブスク移行の加速: 既存の買い切り版ユーザー(数千万人規模)がサブスクへ移行し、ARRが指数関数的に増加する。
- アジア市場の浸透: インド、中国という巨大市場でのマーケティングが成功し、新規ユーザー数が爆発的に増加する。
- 価格戦略の成功: 巧みな価格改定や上位プランへの誘導により、顧客単価(ARPU)が上昇する。
リスク (ネガティブシナリオ)
- サブスク移行の鈍化: 多くのユーザーが無料版や旧来の買い切り版で満足し、ARRの伸びが期待を下回る。
- 競合(Adobe)の攻勢: AdobeがAI機能との連携でマンガ・Webtoon制作機能を大幅に強化し、優位性を脅かす。
- クリエイターの反発: 将来的な価格戦略や方針が再びユーザーの反発を招き、ブランドイメージが毀損する。
主要な洞察 (キー・インサイト)
- 最大の強みは「習熟」: 同社のMoatの源泉は製品機能以上に、クリエイターが習熟に費やした「時間」そのものです。この「スイッチングコストの壁」は、Adobeですら容易に崩せません。
- SaaS企業として「再評価」される段階: 株価はまだ「製品ヒットメーカー」としての評価ですが、実態はARR50億円超の「高収益グローバルSaaS企業」です。この実態が認識されれば、バリュエーションは見直される可能性があります。
- 「AIと戦わない」戦略の妙: AIブームに安易に乗らず、むしろ「AIからクリエイターを守る」戦略は、顧客(クリエイター)からの絶大な信頼を獲得する上で、極めて賢明な判断でした。
ステップ5:参考ファクトリスト
- セルシス IR情報(決算短信・補足資料・中期経営計画):
https://www.celsys.com/irinfo/ - セルシス 2025年12月期 第2四半期 決算短信 (2025/08/08):
https://www.celsys.com/files/user/pdf/ir/financial-report/2025/ta_2025-0808.pdf - セルシス 2024年12月期 決算短信 (2025/02/14):
https://www.celsys.com/files/user/pdf/ir/financial-report/2025/ta_2025-0214.pdf - セルシス IRニュース「中期経営計画」及び「2024年12月期 決算短信」を発表 (2025/02/14):
https://www.celsys.com/topic/2025021401 - PR TIMES「セルシス、イラスト・マンガ制作SaaSサービス「CLIP STUDIO PAINT」の全世界におけるサブスクリプション契約数が100万に」(2024/06/05):
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000839.000005223.html - CLIP STUDIO「CLIP STUDIO PAINTへ画像生成AI機能を搭載しないことといたしました」(2022/12/02):
https://www.clipstudio.net/ja/news/202212/02_01/ - (その他、みんかぶ、株予報Pro等の株価情報サイトを参照)
おお、高得点。
めちゃ割高だろうなぁと思ったけど、そこまでPERもぶっ飛んではなかった。
伸びしろもありそうだし、クリエーターサポートからプラットフォームへの絵も描けてるし、いいなぁ。

なお、これまで株式投資型クラウドファンディングの案件も生成AIを使って評価しています。興味あれば是非ご覧ください。
(詳しくはこちら)
FUNDINNO案件レビュー(ソシウム株式会社) - さらさら、ゆるゆる投資
生成AIにおける案件評価のここまで - さらさら、ゆるゆる投資
最後に、本記事はあくまで個人の見解であり、特定の金融商品をお勧めするものではないのでそのへんは自己責任で!